忘年会シーズンのお酒が泌尿器に与える影響 とは?|蒲田の泌尿器科専門医が適切な飲酒と健康管理を解説

忘年会が続くこの季節、こんな症状に心当たりはありませんか?

  • お酒を飲んだ翌日の尿の色が異常に濃い
  • 飲酒後に残尿感が強くなる感じがする
  • アルコール摂取で夜間頻尿が増悪する
  • 飲酒後に尿が出なくなる

この記事では、忘年会シーズンのアルコール摂取が泌尿器系に与える影響について、解説いたします。楽しい忘年会シーズンを健康に過ごしていただくための知識として、お役立てください。

アルコールが泌尿器系に与える影響

アルコールの利尿作用とその影響

まず理解していただきたいのは、アルコールが体に与える生理学的な影響です。

抗利尿ホルモンの抑制

アルコールは、脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモン(ADH)の働きを抑制します。その結果、腎臓での水分再吸収が減少し、大量の水分が尿として排出されます。

脱水状態の進行

飲酒により一時的に大量の尿が作られるため、体は脱水状態になります。これが翌日の尿の濃縮や、様々な泌尿器症状の原因となります。

電解質バランスの乱れ

アルコールの利尿作用により、ナトリウムやカリウムなどの電解質も失われ、腎機能や膀胱機能に影響を与える可能性があります。

前立腺の腫れと排尿困難

アルコールにより前立腺のむくみが増し、一時的な腫れや炎症が起こることがあります。その結果、排尿困難や残尿感を感じます。

急性前立腺炎のリスク

過度の飲酒と不規則な生活により、前立腺炎のリスクが高まります。発熱や排尿時痛を伴うこともあり、注意が必要です。細菌にはサウナなどから感染する可能性もあります。

忘年会シーズンに多い泌尿器トラブル

男性に多い症状

排尿困難と残尿感

  • 尿が出始めるまで時間がかかる
  • 尿の勢いが弱くなる
  • 排尿後もすっきりしない
  • 何度もトイレに行きたくなる

夜間頻尿の悪化

もともと夜間頻尿の傾向がある方は、アルコール摂取により症状が悪化することが多いです。「飲み会の日の夜は何度も起きる」というお話を聞いたことがあると思います。

女性に多い症状

女性の場合も、忘年会シーズンには特有の症状が現れることがあります。

膀胱炎のリスク増加

アルコールによる脱水状態と免疫力低下により、膀胱炎のリスクが高まります。お酒を飲むと水分補給を忘れがちですし、トイレを我慢してしまうことも原因の一つになります。

頻尿・尿意切迫感

アルコールの刺激により膀胱が過敏になり、頻尿や突然の強い尿意を感じることがあります。

年齢・体質による個人差

加齢による影響

年齢とともにアルコール代謝能力が低下し、同じ量でも体への影響が強くなります。特に50代以降の方は注意が必要です。

既存の泌尿器疾患の有無

前立腺肥大症や過活動膀胱などの基礎疾患がある方は、アルコールの影響を受けやすくなります。

薬剤との相互作用

血圧薬や睡眠薬など、他の薬剤を服用している方は、アルコールとの相互作用により思わぬ症状が現れることがあります。

適切な飲酒量と健康管理

医学的に問題となりにくい飲酒量

日本酒換算での目安

  • 男性:日本酒1合(180ml)程度まで
  • 女性:日本酒0.5合(90ml)程度まで

他のアルコール類での換算

  • ビール:中瓶1本(500ml)程度
  • ワイン:グラス1-2杯(150-300ml)程度
  • ウイスキー:シングル1-2杯(30-60ml)程度

休肝日の重要性

週に2日は完全にアルコールを摂取しない日を設けることが重要です。肝臓だけでなく、泌尿器系の回復もします。

忘年会での実践的な飲酒のコツ

  • アルコール1杯に対して、水やウーロン茶を1杯
    これにより脱水を防ぐことができます。「チェイサーを頼む」という習慣をつける。
  • 空腹時の飲酒は避ける
    必ず食事と一緒に摂取してください。アルコールの吸収速度が緩やかになります。
  • おつまみをしっかり食べる
    特にタンパク質を含む食品(枝豆、豆腐、焼き鳥など)がお勧めです。代謝を助けます。
  • ゆっくりと飲酒する
    ゆっくり飲むことで、体がアルコールを処理する時間を確保できます。
  • 風邪気味や疲労が蓄積している時
    飲酒を控えることも重要な判断です。無理をすると、症状が悪化することがあります。

飲酒後の泌尿器ケアと対処法

十分な水分補給

  • 日中を通じて意識的に水分を摂取
    喉が渇いていなくても、こまめに水分を取りましょう。
  • 尿の色をチェック
    健康な尿は薄い黄色です。濃い黄色や茶色っぽい場合は、まだ脱水状態が続いている可能性があります。

気になる症状がある場合の対応

以下のような症状がある場合は、自己判断せず適切な対応を取ることが重要です。

血尿が見られる場合

  • まずは安静にして、十分な水分を摂取
  • アルコールの摂取は控える
  • 目で見た血尿はすぐに受診を

排尿困難が続く場合

  • 温かいタオルで下腹部を温める
  • 水分摂取量を調整(過度に控えるのは禁物)→まずは受診を
  • 症状が強い場合は早めに受診

発熱を伴う場合

  • 感染症の可能性があるため、早急に受診が必要
  • 自己判断での解熱剤使用は避ける

当院での診療方針と予防指導

患者様の生活スタイルに合わせた指導

私が診療で大切にしているのは、患者様の実際の生活スタイルを理解した上での指導です。「お酒を一切飲まないで」という現実的でないアドバイスではなく、楽しく健康的に飲酒を続ける方法をお伝えします。

東邦大学医療センター大森病院との連携

より専門的な治療が必要と判断される場合は、東邦大学医療センター大森病院との連携により、継続性のある治療を提供いたします。

アルコール関連疾患への対応

アルコール性肝障害と泌尿器疾患の合併例

  • 慢性的な飲酒による泌尿器がんリスクの評価
  • 必要に応じた他科との連携

私の診療への想いと信条

患者様の生活を尊重した診療

私の信条である「誠意・礼譲・質実剛健」は、飲酒に関する相談でも大切にしています。
患者様の排尿状態を客観的に評価し、適度な飲酒を推奨します。

地域密着の観点から

蒲田という街は、働く世代の方が多く、忘年会などの付き合いも大切な要素だと理解しています。そうした地域性も考慮しながら、皆様の健康をサポートしたいと考えています。
開業してから感じるのは、蒲田という街の温かさと、地域の皆さんの繋がりの強さです。忘年会も、そうした繋がりを深める大切な機会ですよね。

大田区蒲田地域の皆様へのメッセージ

働く世代への配慮

忘年会シーズンに泌尿器トラブルでお困りの方の多くは、お仕事を持つ方々です。そのため、以下のような配慮をしています。

夜間診療の活用

金曜日は20時まで診療を行っており、忘年会前後の体調チェックやご相談に対応できます。「忘年会の前に診てもらって安心した」という声をいただくこともあります。夜間診療はお待たせすることもございますが、基本お断りはせず必ず拝見しております。

迅速な診断

お忙しい中での受診ですので、効率的な検査と迅速な診断を心がけています。

予防的な健康管理のご提案

忘年会シーズンに向けて、事前の健康チェックをお勧めしています。

前立腺の健康チェック

50代以上の男性は、忘年会シーズン前にPSA検査や前立腺の状態確認をしておくと安心です。

腎機能の評価

血液検査による腎機能チェックや超音波検査での形態変化を見ることで評価します。

尿検査、排尿状態の確認

女性の方は、膀胱炎の既往がある場合、予防的な指導を受けておくことをお勧めします。

よくいただくご質問

Q1. どれくらいの量なら毎日飲んでも大丈夫ですか?
一般的には男性で日本酒1合、女性で0.5合程度が目安とされていますが、個人差があります。年齢、体重、基礎疾患の有無などを総合的に考慮して判断する必要があります。
Q2. 週にどのくらい期間をあけて次に飲んでもいいですか?
週に2日は休肝日を設けることをお勧めします。泌尿器症状が回復してからの飲酒が安全です。
Q3. 女性ですが、男性より注意することがありますか?
女性は一般的にアルコール代謝が男性より遅く、同じ量でも影響を受けやすいとされています。また、膀胱炎のリスクも高いため、より注意深い飲酒が必要です。
Q4. 忘年会シーズン後の健康チェックは必要ですか?
年末年始の飲酒が多い時期の後は、一度健康状態をチェックすることをお勧めします。

最後に〜楽しい忘年会シーズンを健康に過ごすために

専門医としての最終アドバイス

忘年会シーズンのお酒と健康について、少しでも不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。楽しい年末を健康に過ごし、素晴らしい新年を迎えるお手伝いをさせていただきます。
蒲田地域の皆様の健康をお守りすることが、私の使命です。皆様のお越しを心よりお待ちしております。


クリニック情報:かまた腎泌尿器・内科クリニック

院長:青木洋(泌尿器科専門医・内分泌代謝科専門医)

所在地:東京都大田区蒲田4-15-8 シュロスバッカス6F

アクセス:京急蒲田駅西口から徒歩1分(西口ペデストリアンデッキの正面)

診療時間:月・火・水・金 9:00-13:00/15:00-18:00(金曜は20:00まで)、土 9:00-13:00

休診日:木曜・土曜午後・日曜・祝日

電話:03-6715-8803

特徴:飲酒による泌尿器トラブルの診療、生活習慣指導、東邦大学医療センターとの連携

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監修医師

院長 青木洋

日本泌尿器科学会専門医
日本性感染症学会認定医

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