お子さんのおねしょ(夜尿症)完全ガイド – 原因から治療まで

「もう小学生なのにまだおねしょが続いていて心配…」 「いつまでに治るものなの?」 「病院に相談すべきタイミングはいつ?」

このようなお悩みを持つ保護者の方は少なくありません。夜尿症(おねしょ)は子どもの成長過程でよく見られる現象ですが、年齢によっては本人も家族も悩みを抱えがちです。

かまた腎泌尿器・内科クリニック院長の青木が、泌尿器科専門医の立場からおねしょの原因と治療法について詳しく解説します。当院では小児泌尿器科疾患の診療も行っておりますので、ぜひ参考にしていただき、必要に応じてご相談ください。

おねしょ(夜尿症)とは

夜尿症(やにょうしょう)は、医学的には「5歳以上の小児で、器質的疾患がないにもかかわらず、月に1回以上の頻度で夜間に尿をもらす状態が3ヶ月以上続く場合」と定義されています。

日本小児泌尿器科学会の調査によると、5歳児で約10%、7歳児で約5%、10歳児でも約3%の子どもがおねしょを経験していると報告されており、決して珍しくない症状です。7歳までにおよそ80%の子どもは自然に治まるとされています。

子どもの排尿コントロールの発達

子どもの排尿コントロールは年齢とともに発達します。

  • 生後1歳半〜2歳:昼間の排尿を意識し始める
  • 3歳頃:昼間のトイレトレーニングが完了する子が多い
  • 4〜5歳:夜間の排尿コントロールができるようになる子が増える

しかし、この発達には個人差があります。家族歴がある場合(両親のどちらかがおねしょの経験がある場合)はお子さんにもおねしょが見られる確率が高くなります。両親のどちらかに夜尿症の既往がある場合、お子さんの約40%に夜尿症が見られるというデータがあります。

おねしょが起こる原因

おねしょが起こる主な原因として、次の3つのメカニズムが考えられます。

1. 夜間の覚醒障害

睡眠中に膀胱が満杯になっても、脳が尿意の信号を適切に処理できず、目覚めることができない状態です。特に子どもは大人よりも深い睡眠をとる傾向があり、トイレに行くために目覚めることが難しい場合があります。

2. 抗利尿ホルモンの夜間分泌不足

通常、人の体内では夜間に抗利尿ホルモン(ADH)が多く分泌され、尿の生成量を減らす働きをします。しかし、おねしょのあるお子さんではこのホルモンの夜間分泌が不十分で、大人と同じように夜間の尿量が減少せず、多くの尿が作られてしまいます。

3. 膀胱容量の問題

お子さんの膀胱が小さい、または膀胱の機能が未熟で適切に尿を溜められないこともおねしょの原因となります。膀胱が過敏で、少量の尿でも収縮してしまう「過活動膀胱」の場合もあります。

その他の要因

  • 便秘(腸内の便が膀胱を圧迫することがある)
  • 心理的ストレス
  • まれに器質的疾患(腎臓・泌尿器系の異常)

お子さんのおねしょには、これらの要因が単独または複合的に関わっていることが多いです。当院では、これらの原因を詳しく検査し、お子さん一人ひとりに合った治療計画を立てています。

おねしょの種類と診断方法

おねしょの種類

日本の小児科医は夜尿症を以下のようなタイプに分類しています。

単一症候性夜尿症

  • おねしょ以外の排尿異常がなく、昼間は正常に排尿できる
  • 全夜尿症患者の約80%を占める
  • 原因別のタイプ
    • 多尿型:夜間の尿量が多い
    • 膀胱型:膀胱容量が少ない
    • 混合型:上記両方の特徴を持つ

多症候性夜尿症

  • 昼間も頻尿や尿もれがある
  • 排尿時の違和感や痛みを伴うことがある
  • 尿路感染症や神経学的問題が関連している場合がある

診断方法

おねしょの診断では、まず他の疾患による二次性の夜尿症でないことを確認することが重要です。当院では以下の方法で適切な診断を行います。

  1. 詳しい問診:おねしょの頻度、昼間の排尿状況、便通の状況、家族歴などをお聞きします
  2. 排尿日誌:頻尿などの症状が強いお子さんには2〜3日間の水分摂取量と排尿量を記録していただくことがあります
  3. 尿検査:尿路感染症や腎機能の評価を行います
  4. 超音波検査:膀胱や腎臓の形態評価、残尿の確認を行います
  5. 必要に応じて追加検査:尿流測定検査など専門的な検査を行うことがあります
    ※当院では採血などの痛みを伴う検査は施行しませんのでご安心してご来院ください


これらの検査結果をもとに、お子さんのおねしょのタイプと原因を特定し、最適な治療法を選択します。おねしょのお子さんの約5%には泌尿器科疾患、内分泌疾患、脊髄疾患や精神疾患が関連している可能性があるため、初診時に慎重な診察が必要です。

効果的な治療法と対応方法

おねしょの治療は段階的に進めていくことが一般的です。お子さんの年齢、症状の程度、おねしょのタイプに応じた治療法を選択します。

基本的な生活指導

まずは以下の3つの基本方針による生活指導から始めます。

  1. 中途覚醒をさせない:夜中に無理に起こして排尿させることは避けましょう。これは効果が限定的で、むしろ睡眠の質を低下させる可能性があります。
  2. 夕方以降の水分摂取を調整する:就寝2〜3時間前からの水分摂取を控えめにしましょう。ただし、過度な水分制限は避け、日中は適切な水分摂取が必要です。
  3. 膀胱訓練:日中に意図的に尿を我慢する練習を行い、膀胱容量を増やす訓練を行います。

また、お子さん自身が心理的な負担を感じないよう、学校行事への参加を制限しないようにすることも重要です。

専門的治療

生活指導で効果が見られない場合(1ヶ月の夜尿回数が半分以下に減少しない場合)は、以下の治療を検討します。

薬物療法

おねしょのタイプに応じた薬剤を使用します。

  • 多尿型:抗利尿ホルモン製剤(デスモプレシン)を使用して、夜間の尿量を減らします
  • 膀胱型:抗コリン薬やβ3作動薬を使用して、膀胱の過活動を抑制します

アラーム療法

尿を感知するとアラームが鳴る装置を使用する治療法です。これにより、膀胱が満たされたときに目覚める条件反射を形成します。継続して使用することで高い効果が期待できますが、効果が現れるまで数週間から数ヶ月かかることがあります。また、覚醒しないお子さんもいるため、継続の有無は状況に応じて決めていきます。

当院での治療成績

当院での治療成績(2024年5月〜2025年4月)によると、適切な治療を行うことで

  • 1年以内の改善率:100%(24名中24名)

という高い効果が確認されています。治療法の選択は、お子さんの年齢、症状の重症度、ご家族の希望などを考慮して行います。

小児科と泌尿器科どちらを受診すべき?

おねしょ(夜尿症)でお悩みの場合、多くの保護者の方がまず小児科を受診されることが一般的です。確かに小児科医は子どもの健康全般に精通していますが、夜尿症の専門的治療となると泌尿器科での診療がより効果的なケースが多くあります

小児科と泌尿器科の診療アプローチの違い

小児科の強み

  • 子どもの発達全般の評価
  • 基本的な生活指導
  • 一般的な薬物療法の提供

泌尿器科の強み

  • 排尿機能の専門的評価
  • 膀胱や尿路系の詳細な検査(尿流測定、膀胱容量評価など)
  • 多角的な治療アプローチ(行動療法、薬物療法の組み合わせ)
  • 尿路系の潜在的な器質的疾患の発見

泌尿器科を受診すべきケース

以下のような場合は、小児科だけでなく泌尿器科の受診をお勧めします。

  • 6歳以上になってもおねしょが続く(当院では5歳のお子さんの受診歴もございます)
  • 昼間にも尿もれがある
  • 小児科での基本的な治療(生活指導や内服)で改善が見られない
  • 尿の勢いが弱い、排尿時に痛みがあるなどの症状がある
  • 尿路感染症を繰り返している

当院での治療の流れ

当院でのおねしょ治療は以下の流れで行います。

STEP 1: 初診・問診

  • お子さんと保護者の方からの詳しい症状の聞き取り
  • 生活習慣や排尿パターンの確認
  • 心理的要因の評価
  • 家族歴の確認

STEP 2: 診察・検査

  • 身体診察
  • 尿検査
  • 超音波検査で排尿状態を客観的に評価
  • 排尿日誌の記入方法の説明

STEP 3: 治療方針の決定

  • 検査結果に基づいた治療法の提案
  • お子さんと保護者の方への説明
  • 質問や不安点の相談

STEP 4: 治療の開始

  • 生活指導・行動療法の詳細な説明
  • 必要に応じて薬物療法の開始
  • 治療経過記録の付け方の説明

STEP 5: 経過観察

  • 定期的な通院による治療効果の確認
  • 必要に応じた治療法の調整
  • お子さんの成長に合わせた対応

当院では京急蒲田駅から徒歩1分という好立地で、金曜日は20時まで診療しているため、お仕事やお子さんの学校帰りでも受診しやすい環境を整えています。また、東邦大学医療センター大森病院との連携体制も整っているため、必要に応じて高度な医療機関での検査や治療も可能です。

治療費と保険適用について

小児のおねしょ(夜尿症)の治療は健康保険の適用対象となりますので、特に発生しません

アラーム療法(必要な場合)

  • 尿アラーム装置:保険適用外のため実費(月に約5,000円前後)

保護者の方からよくある質問

Q: 何歳までにおねしょは治るものですか?

A: 一般的に7歳までに約80%、15歳までに98%以上の子どもでおねしょは自然に治まるとされています。ただし、早めに適切な治療を始めることで、お子さんの自信を保ち、社会生活への影響を最小限に抑えることができます。

Q: おねしょは遺伝するのですか?

A: おねしょには遺伝的要素があります。両親のどちらかがおねしょの経験がある場合、子どもがおねしょになる確率は約40%、両親とも経験がある場合は約70%と言われています。ただし、これは治療ができないということではありません。

Q: 学校の宿泊行事が心配です。どうしたらよいですか?

A: 宿泊行事の前には薬物療法の強化を検討することもできます。また、使い捨ての吸収パッドや防水シーツなどの対策も有効です。事前にご相談いただければ、状況に応じたアドバイスをいたします。

Q: 心理的な問題が原因なのでしょうか?

A: おねしょの多くは身体的な発達の遅れが主な原因であり、心理的な問題が直接の原因であることは少ないとされています。むしろ、おねしょが続くことによって二次的に自己肯定感の低下やストレスが生じることがあります。お子さんを責めることなく、前向きな対応が大切です。

Q: 水分制限はどの程度行えばよいですか?

A: 過度な水分制限は避けるべきです。一般的には夕食後から就寝までの水分摂取を控えめにする程度で構いません。日中は適切な水分摂取が必要で、脱水症状を引き起こすような制限は避けてください。具体的な指導は診察時に行います。

Q: 治療はいつ始めるべきですか?

A: 一般的に5〜6歳を過ぎてもおねしょが続く場合は、医療機関への相談をお勧めします。特に以下の場合は泌尿器科専門医への受診をご検討ください。

  • 昼間も尿もれがある
  • 排尿時に痛みやその他の症状がある
  • 一度治ったおねしょが再発した
  • お子さん自身が悩んでいる場合

Q: 小児科と泌尿器科、どちらを受診すべきですか?

A: 最初に小児科を受診されるケースが多いですが、6歳以上でのおねしょが続く場合や、基本的な対応で改善が見られない場合は泌尿器科の受診をお勧めします。泌尿器科では膀胱機能の詳細な評価や、より専門的な治療アプローチが可能です。

Q: 泌尿器科は子どもも診察してもらえますか?

A: はい、当院では小児泌尿器科疾患の診療も行っています。お子さんの年齢や状況に配慮した診察環境を整えていますので、安心してご相談ください。

おねしょに対するご家庭でのサポート方法

お子さんのおねしょに対するご家庭でのサポートは非常に重要です。以下のポイントを参考にしてください

お子さんへの接し方

  • おねしょを叱ったり、責めたりしないでください
  • 自然に治るものであることを説明し、安心させてあげましょう
  • 治療に対して前向きな姿勢でお子さんをサポートしてください
  • 成功したときは褒めて自信を持たせましょう

家庭でできる対策

  • 就寝前の排尿を習慣づける
  • 夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませる
  • 寝具を清潔に保ち、不快感を最小限にする
  • お子さんが自分で寝具の交換などができるよう準備しておく

心理面のサポート

おねしょが続くことで、お子さんが自信を失ったり、社会活動を避けたりすることがあります。治療と並行して、以下のような心理面のサポートも大切です。

  • お子さんの気持ちに寄り添う
  • 「自分だけではない」ことを伝える(多くのお子さんに見られる症状です)
  • 小さな進歩や成功を認めて褒める
  • 家族全体で問題に取り組む姿勢を示す

広域からのアクセスも便利

当院では大田区の地域医療に貢献するとともに、以下のエリアからも多くの患者様にご来院いただいています。

川崎エリア:京急川崎駅から約15分、JR川崎駅から約20分
横浜エリア:京急線利用で約30分
千葉エリア:JR総武線・京浜東北線経由でアクセス可能
埼玉エリア:JR京浜東北線でダイレクトアクセス

特に川崎エリアからは、京急本線で乗り換えなしでアクセスできるため、通院の負担が少ないと好評をいただいています。

まとめ

おねしょ(夜尿症)は子どもの成長過程でよく見られる状態であり、適切な対応と治療によって改善が期待できます。当院では以下の特徴で患者さんをサポートしています。

  • 泌尿器科専門医による専門的な診療
  • お子さんの成長段階に合わせた適切な治療法の提案
  • 保険診療による負担の少ない治療
  • プライバシーに配慮した診療環境
  • 京急蒲田駅から徒歩1分の好アクセス
  • 金曜日は20時までの診療時間

「誠意・礼譲の心で、丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけます」をモットーとする当院で、お子さんとご家族が安心して治療を受けていただけます。

おねしょでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。お子さんの成長と自信を取り戻すお手伝いをいたします。

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院長 青木洋

日本泌尿器科学会専門医
日本性感染症学会認定医

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